原発性腋窩多汗症について

【原発性腋窩多汗症の診断基準】

原因不明の過剰なワキ汗が半年以上前より続いている

さらに、以下の6項目のうち2項目以上に当てはまる

・両ワキに同じぐらいの多くの汗をかく

・ワキ汗が多いため、日常生活に支障が生じている

・週に1回以上、ワキに多くの汗をかくことがある

・このような症状が25才以上より前にはじまった

・同じような症状の家族・親戚がいる

・眠っているときはワキ汗がとまっている

【治療目標】　

汗のことで思い煩わない、汗のことを考えなくてすむ日を増やす！

【原発性腋窩多汗症の治療法】

外用剤（エクロックゲル・ラピフォート・塩化アルミニウム液）、ボツリヌス療法（注射剤）、内服薬（抗コリン薬・漢方薬）手術療法などがあります。

＜エクロックゲル・ラピフォート＞

エクロックゲルは、汗の腺に発現するムスカリン受容体タイプ３に有効成分が結合し、発汗シグナル伝達をブロックすることにより制汗作用を発揮します。12才以上で使用できます。

ラピフォートは、エクロックゲルと有効成分は異なりますが作用機序は同じです。9才以上で使用できます。効果の発現にはどちらも2-4週間かかりますので治療をしっかり継続することが大切です。

またどちらも抗コリン作用があるため閉塞隅角緑内障や前立腺肥大による排尿困難がある患者さまは使用できません。

＜塩化アルミニウム溶液＞

塩化アルミニウム液は、汗の腺を閉塞させ制汗作用を発揮します。これは自費診療薬となります。

＜ボツリヌス療法とは＞

ボツリヌス菌がつくる天然のたんぱく質から精製された薬をワキの下に直接注射する治療法です。この薬が交感神経から汗腺への刺激の伝達をブロックし、発汗を抑えます。

使用するのはボツリヌス菌がつくるたんぱく質から精製された薬であり、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではありませんので、感染の心配はありません。

対象となる多汗症：重度の原発性腋窩多汗症の患者さまです

　効　　　果　　：効果は、治療後２～3日であらわれ、４～９ヶ月間持続します。96.1％の人が発汗量が50％におさえられます。

　副　作　用　　：まれに注射部の赤み・はれ・痛み、身体のだるさ、ワキ以外の部位での汗の増加を認める場合もあります。

注　意　事　項　：全身の筋力低下を起こす病気の方、妊娠中、授乳中、妊娠している可能性のある方はこの治療を受けられません。一部の抗生剤・筋弛緩薬・精神安定剤などはボツリヌス療法と同時に使用する場合に注意を要するため、なんらかの薬を服用されている方は診察で申し出て下さい。

 

＜内服剤＞抗コリン薬や自律神経を調節するグランダキシン、漢方薬では、防己黄耆湯・補中益気湯などがあります。

お困りの方は、診察にてご相談ください。